東京都の石原慎太郎知事が急きょ記者会見し、辞任を表明した。
新党を結成し、次期衆院選に出馬するという。新党には、たちあがれ日本に所属する衆参両院議員の5人らが参加する。
石原氏は、国民の生活が第一の小沢一郎代表との連携は否定し、橋下徹大阪市長の率いる日本維新の会などと連携していく考えを示した。自民、民主両党とは一線を画し、保守勢力の結集による「第3極」を狙っている。
「最後のご奉公」という石原氏の行動が、与野党の不毛な対立で閉塞感の漂う国政に一石を投じることになるだろうか。
今回の新党構想について、石原氏は4月、「白紙に戻す」と語っていた。一転して新党結成へ動いたのは、執念を見せていた尖閣諸島の購入問題が国有化で決着したからだと見られている。
自民党総裁選で長男の石原伸晃前幹事長が敗北したため、自民党と対抗する新党の結成に支障がなくなったとの判断もあろう。
80歳の石原氏が健康面も気遣いながら、国政で何を実現したいのかは、必ずしも明確ではない。
石原氏は記者会見で、「硬直した中央官僚の支配する制度を変えなければ駄目だ」と官僚制度の在り方を激しく批判した。持論の憲法改正や沖縄県・尖閣諸島の実効支配の強化策なども力説した。
国政の現状に対する問題意識には、うなずける点もある。
ただ、かつて25年余も国会議員を務めた石原氏が、昨年4選を果たした知事を途中で辞め、国政復帰を目指すと言う以上、もっと具体的な政策と、それを実現する戦略を語ってもらいたい。
たちあがれ日本の平沼代表は「西は橋下、東は石原」の“二枚看板”で風を起こしたいようだが、そう簡単な話ではない。
橋下氏は、石原氏と一致する政策が多いとしながらも原発・エネルギー政策などで「軸がずれている」との見解を示した。やはり、政策のすりあわせが不可欠だ。
石原、橋下両氏ら人気の高い首長をトップに据える新党が、国民から一定の期待を集めている。
これは、「決められない政治」に陥っている既成政党に対する不信や不満が強いことの裏返しでもあろう。民主党内には、石原新党がさらに離党を誘発することに警戒感がある。自民党にも、保守票の分散への懸念があるという。
石原新党が今後仕掛ける「政界再編」が、果たしてどんな波紋を広げるか見定めたい。
(2012年10月26日01時41分 読売新聞より)
次の都知事は誰になるのでしょうか。
ネットでは、東国原氏、去年都知事2位の渡邉氏、猪瀬氏の名前などが挙げられている。